2003年11月7日金曜日

竹本対苔州1

小鉢の世界で竹本隼太、市川苔州といえば古典の最高峰の作家ですが
その両作家が、数多くの似かよった作品群を残しているのです

竹本隼太作・青磁釉正方
市川苔州作・瑠璃釉正方

↑の二つは間口がそれぞれ約3cmのほとんど大きさの似かよった豆鉢です
相違点は釉薬の色と、竹本は隅を切ってあるくらいです




しばしば鉢の鑑定の決め手となる土目もやや似ていますし
おまけに足の形までそっくり(やや大きさがちがいますが)
水穴の開け方までそっくりです

これでは異なる作家と断定する決め手が見つかりませんね

竹本は明治25年に没しています
苔州は明治30年の生まれです

謎は深まるばかりです

つづく

2003年11月6日木曜日

盆栽の歴史2 

盆栽鉢の水穴

日本における盆栽の起源は、鎌倉時代に描かれた絵巻物に描かた資料より
平安時代まで溯ることができます
また室町時代の狩野派の屏風絵にもよく盆栽の姿をいかけます

江戸時代になると、浮世絵に町の女性とともに盆栽や盆栽売りの商人も登場し
庶民の間でいかに盆栽が楽しまれていたかよくわかります
盆栽の形も現代の盆栽にかなり近い雰囲気です

現代でも意外なところに資料(?)があるんですよ
「サザエさん」の漫画の中によく見かけます(な~んだ、って言わないで)
終戦直後の昭和20年代、まだ日本が敗戦の痛手から完全に抜け出せないでいる頃ですら
「サザエさん」のお父さんは庭に棚を作って、盆栽に水をやっています

さて、盆栽の歴史はもっと古いはずだとは思っても
確たる資料がないので、日本においては、そこから先は推測するほかはありません

ところが、ありがたいことに、お隣の中国では
近年、盆栽鉢の起源と思われる植栽鉢が描かれた資料が出土し
新石器時代(7000年前)から盆栽が楽しまれていたことが裏づけられています

もちろんその頃では、今のように庶民の趣味として普及していたなんていうことはありませんが
時の権力者によって、盆栽の原形といえる「盆器に草花を植える」ことが行われていたんです

すごい話ですね
7000年前の新石器時代ですよ
信じられないくらいです

その盆栽が日本に伝わったのは、案外古いことのように考えられます
(聖徳太子の時代よりはるか以前)

ところでみなさんはどう思いますか?
唐の時代に、宮廷で盆景を捧げ持つ侍女の壁画は見たことがありますが
あの皿状の盆器には水穴が開いていたのでしょうかね
横道へそれてそればっかり気になっているんです

つづく

2003年11月5日水曜日

兄弟木・秋雅展より

盆栽界には兄弟木ということばがあります
兄弟というからには、厳密には、同じ親木の種子や挿し穂から殖やしたもののことですが
そこは鷹揚な盆栽界のことです

同じ作者が作った、同じ種類の似たような樹形のもの、も兄弟木と呼んでいます
その場合の親とは、作者のことなのだと広義に解釈しているのですね

前置きはこのくらいで、本題に入ります



ある同業者の話によると
秋雅展に出品されていた↑の姫クチナシは、当園のクチナシの兄弟木だそうです
同じ親木から挿し穂をとったもので、樹形の基本は同じ作者だそうです
正真正銘の兄弟ですね

年齢はなんと5~6歳しか違わないようです
うッそォー
でも本当だそうです

あんちゃんの方がいやに老けてますね
体格もかなり違いますね



この鉢で5~6年育てると↑のような太幹の姫くちなしになります
もちろん上手に培養しての話ですが

現実のサンプルを見せられると、年月の力ってすごいと思います
このクチナシに限らず、5年の歳月にはかなりのことができそうですね

勇気をもらった姫クチナシの兄弟木の見本でした

2003年11月4日火曜日

盆栽と盆栽鉢の歴史1

古渡烏泥長方盆(こわたりうでいちょうほうぼん)

先日、掲示板で盆栽鉢の正面の話が話題になりました
その際に「盆栽鉢は香炉より品格が落ちる」という意味のカキコミがありました

これは黙って見過ごすことはできません

しからば(調子が硬いね)盆栽とは何ぞや、少しくらいは語らねばなりません

盆栽人の名誉のために

そのためには、私達は盆栽や盆栽鉢の歴史を知っておきましょう

しかし、盆栽や盆栽鉢のルーツに辿りつくためには
何千年もの歴史、美術史を遡ることが求められるようです

”いいんじゃん、楽しく盆栽やってれば”

みなさんが口を揃えてそう言ってくれれば助かるんですね
考えてだけで私も疲れが出てくるんです

ですがこの際、語らねばならないのです

文献によると、盆栽鉢の起源と思われる植栽鉢が
中国の新石器時代(7000年前)の出土品に描かれているそうです

そして隋や唐の時代(7世紀~10世紀頃)には
円形や連弁形や長方形の盆栽鉢が存在したことは、資料により明白な事実です

みなさん、自信を持ってください
盆栽や盆栽鉢は何千年前の人々にとっても愛好されていたんですよ

↑の写真のような「古渡り鉢」は、「野香炉」つまり、お墓の線香立てであったものを
盆栽鉢に転用したものだと信じている人たちがいます

しかし、この説はいまや否定されされつつあります

難しいことはこのあたりにしましょう

とにかく、みなさんは、何千年の歴史を持った趣味を毎日楽しんでいるのですよ
これは事実です

2003年11月3日月曜日

大助浪千鳥

大助の作品は、彼がボディーを作らず鉢の絵付け師として生きたために
土目、形、大きさはもちろん、絵の傾向も多様でした

平安東福寺が生涯自前の窯を持たなず借り窯であったために
その作風は非常に多様であったことと似ていますね



鉢作りといっても幾工程もあるわけですから
大助は結果として、絵付け師として生きたことが幸いしたような気がします

さて今日とり上げるのは、浪に千鳥の作品です
古くから日本人に親しまれてきたこの文様ですが、色絵は少なく
ほとんどが呉須(ごす・青い釉薬)で陶磁器に描かれています

大助は大胆にも複数の色を用いて浪千鳥を描くことに挑戦したのです
絵師大助はここでも非凡な力量を発揮しました

瑠璃釉薬の胴の前後に窓を切り
簡明な図柄に色数と色調を抑えて描いた浪千鳥は、可憐でしかも生きているような躍動感があります

大助鉢の傑作の一つに数えていい出来栄えです

あのドングリまなこのげじげじ眉毛のおっさんが
こんな可愛い千鳥を描いたなんて信じられませんね
(彼が生きていたら怒られちゃいますね)

2003年11月2日日曜日

秋雅展より

秋雅展で普通サイズの小品より小さめのミニの席を見つけました
樹種は控えてこなかったのでわかりませんが、流れとか高低強弱のイメージはつかめますね


雑木づくしの席飾りです
真ん中に置いた箱卓(はこしょく)のテンバの量感が利いていますね
この木の量感が足りないと席全体が締まらなくなってしまいます


敷物を敷かずに、床にじかに卓を置いています
これも新鮮でいいと思いました

近年飾りがていねいになり過ぎ
卓や地板を二重三重に用いているのに飽きていたところです
いいですねー

空間の広がりを感じます


草物盆栽作家・山根景子さんの作品の一部

短冊形の陶板を使っています

さすが山根さんです

この草物は三点セットの左側に位置している作品ですから
短冊は右に向かって流れるように組み合わせてあります(奥が右へ出ている)
反対の組み合わせだと左流れになって、定法からはずれます

2003年11月1日土曜日

秋雅展見学

恒例の秋雅展が10/31より11/3まで、上野グリーンクラブで開催されています
秋雅展は関東で開かれる小品盆栽の展示会では、規模もレベルも一番です

私も昨日行ってきました
平日ですがたくさんの見学者で盛況でした

売店もたくさん出ていて、売れ行きも好調のようです
売れ行きは業者の皆さんの機嫌でわかりますからね
もちろんみなさん御機嫌上々


会場の片隅では盆栽講習会
後ろ姿は講師の大和園の広瀬さんです
広瀬さんの講習は分かりやすいですね、真面目な人柄がよく出ています
生徒さんも熱心でした


会場の展示品の中に、六角鉢を使った盆栽を見つけました
伊万里焼の染付け六角鉢ですね
うれしいことに、足と角を正面にした正しい使い方をしています
小品業界ではリーダー達の指導がけっこう行き届いているようですね
盆栽はメギでしょう

今日と明日、まだ二日間あります
東京近辺の方はお出かけ下さい

上野公園内の水上動物園の入り口近くです

上野グリーンクラブ
℡03-3821-4587・03-5685-5656
午前9時から午後5時(最終日は午後4時まで)