2012年8月24日金曜日

杜松・古葉掃除と芽摘み 2

この杜松(樹髙約10㎝)のように、枝棚もこのくらいに吹き込んでいると
ていねいに古葉掃除をおこなうと、ゆうに一日近くかかります

また、そのくらいに時間をかけて丁寧に徹底したほうが
せっかくの作業の効果が上がります


葉裏から見ます
かなりきれいになりましたね


まだ青味の残った古い葉がかなりついていますが、これらを無理に取ろうとすると細い軸を傷めるので
それらは10月の末ごろまで待って、再び掃除することにします


杜松の最後の芽摘み時期はおおよそ9月の中頃といわれています
今年の残暑は長引きそうなので、今回を含めてもう一回行えるでしょう

そうそう、ここで肥料をがっちりやっておくことも忘れないように
8月末、9月末、10月末と、あと3回の施肥です


芽摘みを兼ねた古葉掃除、完了!

作業前の画像と見比べて下さい
濃い緑に輝く葉の美しさが際立ちました


後ろ姿


真上からの画像

古葉掃除と芽摘みによって、向こうが透けて見えるようになりました
これなら風通しもよく日の光のフトコロまでとどき、胴吹き芽がしっかり育ちます

さあ、みなさんも残暑に負けずに実行しましょう!

2012年8月22日水曜日

杜松・古葉掃除と芽摘み 1

山取素材がすっかり枯渇してしまったために、なかなか優良な素材には巡り会えませんが
大物にもミニ盆栽にも向いたその特質から、杜松の盆栽界での人気は不動の地位にあります

さて、その杜松の手入れで欠かせないのが適切な芽摘み
4月頃から9月の中頃をめやすに適宜おこないますが、それと同時に古葉の除去(掃除)を徹底すると凄い培養効果をあげることができます

そこで今日は、その古葉の掃除について
しっかり勉強し、改めて効果と必要性について認識を確かにしていただきたいと思います


上から見た限りでは、芽摘みの必要性こそ感じますが
うっかりする新芽に目がいってしまい、古葉の掃除までは思いつかないことがあります


ところが葉裏から見ると黄ばんだ古葉がびっしりこびりついていますね
この古葉が通風をと日射しを妨げて、せっかくの胴吹き芽の成長のじゃまをしているのです


拡大してもっとよく観察してみます
ありゃ、こりゃひどい!


樹冠部付近の吹き込んだ棚に指を突っ込んで、フトコロの様子も観察してみます


混み合ったフトコロの中は、それでなくとも通風がわるく蒸れやすい
さあ、細かい作業で面倒ですが、ピンセットと小ハサミで古葉掃除にとりかかりましょう


ピンセットと小ハサミを使って茶色くなった古葉を取り除いていきますが
画像のように、古葉に隠れて小さな芽がけっこう吹いていますから、これらを傷めないように気をつけます

根気のいる作業ですが、頑張ります
ちなみに、剪定や針金かけなどの整姿は下(足元)からですが、掃除は盆栽の上(樹冠部)から行ないます

なぜって、ゴミが出ますから
上から綺麗にしていくほうが合理的ですね


枯れ葉はピンセットで、小さなイボ状になった複数の芽の塊などは小ハサミで
順次掃除を進めます

赤印の先に胴吹き芽がありますから
これらを傷めないように


芽止りした芽の先端はピンセットでは取り切れませんから
小ハサミでていねいに切り取る


その元に胴吹き芽が用意されていました


せっかく吹いた胴吹き芽ですが
通風がわるいために蒸れて黄色く変色してしまった

これもハサミで除去


だいぶきれいになってきましたが
せっかくですから、もっと徹底的にやりぬきましょう

一応上から下まで終わったら
もう一度上に戻って、下までもう一度仕上げ作業を繰り返せば、ほんとにきれいになりますよ

つづく

2012年8月20日月曜日

呼び接ぎ切り離し

江戸時代よりも以前、すでに戦国時代から行なわれていたという接ぎ木技法ですが
現代の盆栽人にとっても、とくに小品盆栽の愛好者には非常に大切な技法です

普通サイズの盆栽は幹の太さや葉がさなどの迫力の要素で見られるせいか
施術はそれほどには実施されていません

しかし、小品盆栽では、より造形的な厳密さが求められる傾向があるので
枝順などを整える手段としての、呼び接ぎ技法が多様されている感じです

さて、その呼び接ぎですが、案外みなさんが失敗するのが
呼んだ元枝の切り離しの急ぎすぎです

画像で詳しく見てみましょう


出猩々取木素材、今年の春の3月頃の画像です
前年の入梅頃に幹に溝を削り込んで呼び接ぎをかけてあります


拡大図

この時点では穂木の丈夫に完全に肉巻きしており
一見すると呼び接ぎ成功とも見られますが、まだ切り離しの時期には早すぎます

まず、呼んだ枝の入り口(元枝)と出口(穂木)の太さがほとんど同じですね
ということは、穂木はまだ幹とは完全に活着しておらず、まだ元枝の水揚げを必要としているのです

この段階で切り離しを急げば
せっかくの穂木が萎れてしまうこともあります

それに加えて、まだ芽の動かない休眠中に切り離しを行なうと
穂木の元気さや生育状況がわかりにくいので、もう少し我慢するのがより正しい選択です


7月19日に確認したところ
ご覧のように穂木(左)が元枝(右)よりもかなり太くなっていました

穂木はすでに必要な水のかなりの割合を
元枝よりも活着した幹から揚げている証拠です

もう穂木は一本立ちできるはずですから
この時点で元木を切り離しました

ただし、元枝はすぐに元から切らずに
後日の比較検討のために数㎝ばかり残しておきますね


8月10日撮影

一本立ちしてから20日間が経ちました
左右の枝の太さはますます差が開いています

この時点ではじめて「呼び接ぎ成功」
穂木は完全に独立した一本の枝になったのです


入り口を削って癒合剤を塗布
穂木から新しい枝へとステップアップしました

急ぎすぎないで~!
ではでは

2012年8月17日金曜日

スクール速報・くちなし

今日ご紹介するのは、ワーさんと愛培する姫くちなし
ワーさんは約1年前から熱心に通っているスクールの新人さんで、年齢は40代の半ば

とても几帳面でていねいな性分なので
盆栽のひと芽ひと芽にも注意力が及んでおり、将来を楽しみにしています

さて姫くちなしですが、去年の5月に、それまでのよりちょっと大きめの現在の一蒼鉢に入替え
樹勢をつけることに専心したきました

みなさんもご存知のように
くちなし盆栽には天敵ともいえる害虫がいますね

6月頃になるとスズメ蜂に似たオオスカシバがやってきて
気がついたときには、幼虫が葉を丸刈りにしてしまうことがしばしばです

そのため、よほどコマメにチェックしていないと
なかなかきれいに葉が揃いませんね

予防するには、6~9月ごろのオオスカシバの発生時期に
防虫ネットや金網などで覆った、箱状の避難場所を設けるのもひとつの方法です

さて、そんなわけで今年はオオスカシバの餌食にもならず、順調に葉がさがふえてきた姫くちなし
5月ごろにワーさんの持ち物になって数ヶ月が過ぎました


葉の色つやもよく葉がさもかなりふえて貫禄が出てきました

そこで、向かって左の枝に細めの銅線をかけて枝を下げました
向かって右の差した力枝は、針金で吊りをとって下方に下げました

まだ初心者のワーさんにはこのくらいが精一杯かな
それでも両枝を下げたために、木の構図にどっしりとした安定感が出て、スケールが格段に大きくなりました


正面のフトコロを拡大して眺めます
針金の掛け方が定法通りにはいっていませんが、オオメに見ましょう(盆栽の形優先です)


去年の5月ごろの画像

現在の画像と見比べてください

両方の利き枝がやや上向きなため
なんとなく木姿に重みが感じられませんね

この樹勢ならばこの夏中にもう一度芽摘みができます
そうすれば一段と葉がさもふえ、さらに重量感が感じられるようになるはずです

がんばりましょう!

2012年8月9日木曜日

散水口の取替え

一昨日が立秋だったとは言え、まだまだとても秋の雰囲気ではなく
盆栽人にとっては暑さとの闘いの毎日が当分続きそう

今年は寒冷紗の日除け設備に加えて、棚に人工芝を敷いた水対策のおかげで
水やり作業の負担はおおよそ半分くらいになり、盆栽の健康状態も順調のようです

とは言え、ちなみに申し上げると、「順調のようです」とあいまいな表現をしたのは
まだ寒冷紗の日除け設備での水やりのコツが完全に掴み切れていないので

かえって過水にならないように、かなり神経を使っている最中で、まだ自信満々とは胸を張れないからです
秋になって、「順調でした」と断言できるようにがんばります

さてそこで、今日のレッスンもやはり水やりに関係したことです


数ヶ月前に取替えた散水口の筒先

それがどこかへブツケタのでしょうか、一部が壊れてあさっての方角へ水漏れ
糸状の水の散り方にも強弱がみられますね

あなたもこんな筒先を使っていませんか? 
新しく取替えた↓の画像と見比べて下さい

新しい筒先の画像では
全体の水が平均してムラなく散っていますね

このように如雨露や散水口の筒先からは、平均してムラなく水が出るのが理想
とくに、植替えしたばかりの鉢の表面などは、このように圧力の平均した「柔らかい水」でないといけません

もったいながらずに、年に数回は取替えるように!

では

2012年7月30日月曜日

初めての寒冷紗

盆栽人になってから45年が経ちましたが
今年の夏、はじめて盆栽棚に寒冷紗を張りました

30年に一度といわれた猛暑日の連続だった一昨年以来
夏の寒冷紗はもう避けられないと思い始めていました

それでも昨年は、もう一年とばかり様子見で延長しましたが、
やっっぱり今年は実行すべしと、思い切って実行することにしたのです

というのは、例を挙げると、冬の寒さにも夏の暑さにも丈夫という点では第一番と考えられていた五葉松でさえ
近年では夏の置き場所の見直しがされはじめていることなどがきっかけになっています

この20~30年間の温暖化の傾向は激しいものがありますね

過保護を避け、適度に厳しい環境で育てることが培養姿勢の基本であり
その代表的な樹種が五葉松だったのです

しかし、近年の夏の暑さは、その五葉松でさえ耐え難く
夏には寒冷紗の下でないと葉焼けを起こすようになってしまうほどです

というわけで、正直もう我慢できないという感じで、水やり作業の軽減というよりも
やはり盆栽の健康を第一に考えて寒冷紗を張ることにしたわけです


雑木類の棚はばっちり西日も避け
寒冷紗の遮光率は50%のものを用いました

五葉松以外の松柏類(黒松、杜松、真柏など)の棚には
寒冷紗なし

ただし、五葉松だけは寒冷紗の下で雑木類と同居


盆栽屋.comの水やりは、真夏日では平均一日に3回から4回に葉水など数回でしたが
寒冷紗のおかげで一日2回と中間の部分的な拾い水(乾いた鉢だけやること)と、
風のある日などは数回の軽い葉水、くらいですむようになりました

西日を避けるために短めのカーテンのようにつり下げた寒冷紗
通風のことも考慮して蚊帳状に下までは張らないようにしました↑↓


寒冷紗を張ってみてすぐに実感できた効果

1 乾き方がゆっくりなので、急激な乾燥でうっかり葉焼けを起こすことがなくなった

2 夏の暑い盛りは、急激な乾燥を恐れて、ついつい前倒しで水やりを行いがちだが
  「乾いたらやる」という水やりの基本が守れる

3 そのため、過水に陥る鉢もなく、全体に適度な湿り気を保てる

4 おなじく、過湿の傾向がなくなったので、ナメクジが少なくなった

5 枝や幹を太らせるための、徒長させる枝先の芽が焼けずに
  寒冷紗の下ですくすくと伸びている

などなど、水やり手間の軽減よりも
水の量が少なくてすむために生じる培養上の利点が主だったことでした

2012年7月4日水曜日

スクール速報(超ミニもみじ分身の術)

アニメ漫画の「ナルト」ではないがスクールのベテラン・クロちゃんが分身の術(株分け)を使って
親株からゲットした懸崖の超ミニ山もみじとその親株をご紹介します

クロちゃんはフリースクールの当初からのメンバーで、寡黙で一見のんびりした風貌に似合わずやることは大胆で
その発想はときに予想外のいい線をついていて、私自身も示唆を得ること多々ありです

きっと肩に力が入りすぎていず、自由に盆栽を楽しんでいる故に
あのようなおもしろい発想力が生まれてくるのだと感じています

それでは、まず親株の現在からご紹介いたしましょう


6月10日撮影 樹髙はおそらく5.0~6.0㎝くらい

樹齢20年くらいのだったのを5~6年前にクロちゃんに買っていただいたので
現在では、すでに25年以上になる

無理な肥培はしていませんが、培養のよろしきを得てずいぶんと太りました
とくに足元の座が大きくなったので、大木の相が感じられて、とても超ミニサイズとは思えませんね

幹のコケ順にうるさいクロちゃんらしく、太い足元から主幹にかけてのコケと模様のつながりはグーで
左の子幹が力強く構図を支えていて、まとまりもよし

山もみじのこのサイズでは文句なく逸品といえるでしょう
それに、葉性がすばらしいのも強みの一つですね

クロちゃんはこの完成に近い段階でも、さらなる大改作の構想を持っているようなのですが
私としては、あと数年は基本はこのままじっくり持ち込んでほしいと思い、強く押しとどめている次第です


足元の拡大図

主幹と左の第一副幹、それを囲む数本の細い子幹の関係がわかりますね
なお、このもみじは今年も葉刈りをせず、芽摘み、片葉透かし、葉切りなどの手入れで維持されています


ところで、右の足元の赤印の位置にあったんです、懸崖の超ミニは!

上側の子幹のように、株元にあった子幹の元からたった一本の細い根が生えていました
その子幹の姿と根に目をつけたクロちゃんが、親株からそれらをソーット切り離して育てたのが、↓の懸崖なんですよ

親株の元には肉巻きしたその時の痕跡がまだあります
4~5年ほど前のことだったと記憶しています


2011秋の画像 樹髙4.0㎝

現在この懸崖ミニは四国の愛好家さんに可愛がられていて、先日画像を見せていただいたところ、足元の立ち枝は既に切られていて
行く末の楽しみな本格懸崖樹形への道を順調に歩んでいます


ついでに親株の後ろ姿も見てください


足元、主幹、子幹の関係がわかりますね

この親子のさらなる成長と向上を楽しみにしています
また機会があったら親子揃ってつれづれ草に出演してほしいですね

それでは! (⌒ー⌒)ノ~~~