2003年1月8日水曜日

東福寺鉢の作風

盆栽界で最も人気のある平安東福寺の鉢の作風は非常に多彩です
それは形、大きさ、土、釉薬のすべてにわたります

焼しめもの(釉薬をかけないもの)においても用いられている土はさまざまです
今回は古い支那鉢にみられる、南蛮風の土を使った外縁長方の鉢を考察してみます


大きさは間口16.6cm 奥行き11.8cm 高さ7.0cmです
重厚な縁が外側に向かって張り出しています
胴の部分の曲線に美しい緊張感があります
胴の下に紐状(ひもじょう)のアクセントがつけてあります
こういう形を外縁下紐長方(そとえん・したひも・ちょうほう)と呼んでいます

もしこの下紐がないとすると、縁の重厚さばかりが目立ってしまうでしょう
全体の強弱を考慮に入れた優れたデザインです

足はおとなしく平凡な切り足(きりあし)です
雲足(くもあし)でも映るでしょうが、豪華すぎないように配慮された結果だとおもいます


鉢の内側です
縁は内側にもやや張り出しています
製作過程で、内側の隅の接続部分が粘土で補強された様子がわかります
(隅の縦のヘラ跡です)
荒々しい重厚な土目(つちめ)と使い込んだ時代感もわかりますね


鉢裏の様子です
東福寺の特徴がよく表れている足の形です
(惜しいかな一箇所に足の欠けがあります)

落款は楕円に東福寺です
この落款も東福寺が好んで使ったものの一つで
俗にわらじ落款と呼ばれています


下紐の部分です
紐のやや上の時代のついていないところにヘラ痕がみられます
東福寺の鉢はこのように作者の手のぬくもりが直に感じられるのが特徴です

2003年1月4日土曜日

簡易冬囲い

盆栽の冬越しは、関東近辺では棚の上でも充分可能ですが
小品やミニの場合は凍結と冷たい北西の風から守ってやります

私の冬越しの方法はいたって簡単です
棚板の上から梱包用のビニール(プチプチ)を覆いその下に囲います

百聞は一見にしかず
下の写真のようにします
すそは板に巻きつけて、重しをかけます


中をご覧下さい
寒中は僅かに凍りますが冷たい風は防げます
凍るよりも乾燥した冷たい風の方が盆栽にとって大敵です


屋根が木の棚板ですから日中の温度はさほど上がりません
日中の温度が上がりすぎると
夜間との温度の差が激しくてかえって盆栽を傷めます
温度の差は少ない方がいいのです
また適度の湿度も必要です


鉢の表面が薄っすらと凍る程度の気候条件なら
このように、乾燥した冷たい風を防いでやる程度の簡易な冬囲いで充分です
乾燥した暖かい室内より環境としてはいいと思います

2003年1月1日水曜日

大助鉢・傑作

年末に大助鉢の傑作に出会いました
大助鉢は彼の死後そのよさが再認識されています
彼の生前中は評価はいまいちの感がありました

私自身も20代の半ば頃から佐野大助さんを知っています
東京近辺の小品盆栽関係者に顔の広かった彼の作品は
身近な人間が作ったという認識の為に、逆に評価が低かったようです

ひらたくいえば”隣のおっさん”の作品なので作品自体に親しみを持っていても
評価となると親しみが逆効果になって、正当な評価がなされなかったのでしょうが
これからは評価が高まるでしょう

以下、年末に出会った大助鉢の傑作を紹介します


形のデザインが現代的です
絵付けのデザイン性がその形に見事にマッチして秀逸な小品となっています
(この形に山水画ではおもしろくないでしょうね)


オーソドックスな丸鉢に、山水画の呉須絵
見事な絵付けです
大助がこんなに絵がうまかったかな、きっと酒を飲みながら描いたんだね
と同業者と冗談を言ったほどの絵です

月の輪湧泉かと思うほどの精緻な筆のタッチです
回り絵の構図も斬新です

気合の入ったときの大助の力量を再認識させられました


白磁に浮き彫りの兎と雲が描かれています
浮き彫りは非常に手間がかかりますが、ていねいにしかも愛着を込めた仕事です
白磁といい浮き彫りといい、大助鉢には珍しく、しかも傑作です

以上大助鉢には珍しい作柄のもので、しかも傑作を3点ご紹介しました

2002年12月28日土曜日

小姓梅


小姓梅(こしょうばい)

小姓梅は梅もどきの姫性(八房性)です
仁丹粒ほどの小さい実がなり、ミニ盆栽として人気があります
培養も梅もどきと同じです

しかし、梅もどきの姫性とはいえ、梅もどきと幾つかの性質の違いがあります

1 実生、挿し木、取り木はできません(挿し木は100本に1~2本しかつきません)
  ですから、梅もどきを台木にして接木で殖やします

2 雌雄の別がないので交配しなくとも実はよく付きます
  (梅もどきには雌木と雄木があって、雌木に実が付きます
   その際雄木が近くにないと実の付が悪いのです)

可憐な小さな実をつける小姓梅、みなさん挑戦してください

2002年12月27日金曜日

けやき名品

この年の瀬になって、けやきの名品が手に入りました
盆栽屋になって何十年経た今でも、一番の楽しみは名品との出会いです
ましてそれが自分の所有物になったときの内心の喜びは、言葉では言い表せないものです
これは業者、趣味家を問わないものでしょう

18センチの樹高
逞しい幹
大地をしっかり掴んだ根張り
密に繁った小枝
幹肌も時代感がばっちりです





しかしです
こうやって自分の所有物をほめあげて満足しきっているわけではありません
盆栽には必ず欠点もあります
100%長所ばかりの盆栽なんてお目にかかったことはありません
どんな名品にも欠点はあるものです(ここが肝心)

要はその欠点が、培養その他の技術で克服できるものかどうか
また克服できないものであっても、人に感動を与えるための大きな妨げにならないか
そのあたりの見極めです

盆栽とは自然の樹木と人間の技とが創りだすものです
人間の技ではコントロール不可能な自然の力もあります



私もこのけやきに出会った喜びをかみしめつつも
より一層の樹格の向上は可能であるかを探っています
たとえば、今の正面は正解なのかな?
他に新正面はないかな?
などなどです

盆栽は永遠に未完成です

2002年12月25日水曜日

孫の手盆栽



3歳10ヶ月の孫娘に盆栽を持たして写真を写そうと試したが
うまくいかない
まだ水平に盆栽を維持し静止することは無理なようだ
仕方なく、置いた盆栽に手を添えるところまでで我慢

昔は「片手持ち盆栽」という言葉があった
片手で持てる大きさ、20~30cm位の盆栽をそう呼んでいた
いまでは使われていない
中品という呼び方に代わっている

豆盆栽はミニ盆栽
小物盆栽(これはまだ使われているが)は小品盆栽
片手持ち盆栽は中品盆栽

時代によって呼び方も異なってくる
5~6cmの超ミニを「孫の手盆栽」とでも呼んでみようか
しかし流行りそうにない
やはり「超ミニ」の方が現代的ですね



この程度が精一杯でした

2002年12月24日火曜日

盆栽の木肌 3



この盆栽の樹種は何でしょう?
そう聞かれてもちょっと見では難しいですね

楓なんです
百日紅のようにも見えますね

かなり古い木(25~30年生)です
愛好家が「なめるように」大切に丹精したものです
きれいな肌です

汚れやすい根張りの地際も掃除が行き届います
常にやわらかいブラシなどで清潔にしている様子です

木肌が古色を帯びるには、持込の年月はもちろんですが、元気さも大切です
元気のない木は木肌がこのようにきれいに上がりません

根のムクムクと盛り上がった感じから、新陳代謝が盛んなことがわかります
立ち上がり付近の幹もみずみずしさが感じられます
培養の適切さがわかります

木肌にとって大切なことは
1 鉢持込
2 適切な培養
3 根張りの清掃

です