2003年8月1日金曜日

長寿梅芽摘み剪定

長寿梅は昔からある盆栽樹種ですが
30年前も今も相変わらずの人気ものです

人気の秘密は、第一に四季咲きの濃い緋色の花にあるといえますが
古色を帯びる木肌と野趣味にとんだ枝振りも通人向きです

ところで、昔は↓のような本格的な単幹の模様木はありませんでしたね
すべて自然体の株立ちでした
今と昔の樹形を比較すると、盆栽界における流行や技術の発展が理解できます

さてその長寿梅の剪定のポイントを箇条書にします
1 春の新芽はやや伸ばし加減にし木質化してから摘む(切る)
  その後も同じように木質化してから1~2芽残しが鉄則です
2 やご芽(親から株立ち状にでる芽)は随時刈り取る
3 不要な徒長枝も随時刈り取る
4 本格的な摘み込みの回数の目安は年に2~3回
5 剪定の半月前に肥料を与えておく


↑の模様木は剪定の時期になっています
やご芽は親幹の養分を吸い取ってしまうので、もっと早くに切り取るべきです


地際から刈り取ります
長寿梅は株立ちになる性質があるのでほっておいてはいけません


次に本体の剪定です
輪郭線に沿って一節ないし二節を残して切り込みます
もみじなどの芽摘みと違って、木質化した枝を切るという感じです


輪郭線の切込みが終わります
全体を見渡してもう一度姿を確かめて作業終了です


作業終了
見違えるようにきれいになりました

みなさんも実行!

2003年7月31日木曜日

楓夏の葉切り

本格的な夏の到来です
この季節をうまく乗り切れば、楽しい秋がやってきます
反対に水切れで葉をボロボロにしたり
せっかく成った実を落としてしまうと、がっかりしますね

人間と同じで、夏場に体調を上手に維持して「天高く馬肥ゆる秋」を迎えたいものです
そのためには一にも二にも「水」です

冬に落葉する雑木や実もの花もの、鉢の小さなもの、しばらく植え替えていないものなどは
早めに西日の切れる場所に移したり
二重鉢や浅めの箱に砂を引いてそこに鉢を移すなど、水切れを防ぐ工夫をします

松柏類はその必要はありません
どんどん日に当てて力をつけてやります
過保護はかえってよくありません

水やり対策ができればあとはいろいろな技法で積極的な培養をしていきます
その一つが雑木の葉切りです


葉刈り後、再び新芽が伸びてきました


徒長した芽は一節か二節で切ります
節の数を目で数えながら、ていねいに


次に、大きくなった外側の葉の面積を減らします
つまりハサミで葉を半分くらいに小さく切るのです


葉柄の元に半分の大きさになった葉が残っています
形はどのようにしてもよろしい
これが葉切りです

葉切りの目的は
1 陽射しと風通しをよくして、ふところ枝や芽の生育を助ける
  (ふところ枝とは輪郭線の内側の短い枝や芽のことをいいます)
2 葉の面積を減らして木の勢いを制御する
3 水分の蒸発を制御する

ぜひ実行してください
雑木の小枝作りには効果抜群です


さっぱりしました
これで夏場対策はバッチリです
落葉後の小枝の充実にその効果を見ることができます

2003年7月30日水曜日

小鉢収集心得1

盆栽界には小鉢の魅力にとり憑かれた人がたくさんいます
それは愛好家だけに限ったことではなく業者でも同じです

私の周囲にも何人かの小鉢愛好家(アマもプロも)がいて
鉢の話になると何時間でも話がつきない
男同士だって鉢の話だと長電話をしますよ

さて、みなさんが小鉢の収集をするに当たっての心得をお話しましょう
ちょっとした心がけで道が通りやすく遠回りしないですみます

とっかかれば一冊の本になるほどの内容ですから
折に触れて書いていきます
今日はその第1編です


藤掛雄山作
錦手外縁隅入熨斗鮑図六角樹盆(にしきで・そとえん・すみいり・のしあわびず・ろっかく・じゅぼん)


月香作
亀甲紋入丸型樹盆(きっこうもんいり・まるがた・じゅぼん)

心得
 
1) 信頼できる先輩や業者などを見つける
   これはどの道でも同じですが、特に小鉢の道には真贋がついて回ります
   複製品として承知でそれなりの価格で購入するのは、かえって勉強になりますが
   掴まされたので気分的にもマイナスです
2) 優れた作品に接する
   先人の厳しい評価を潜り抜けて生き残った作者や作品は価値が有ります
   展示会や写真集で勉強しましょう

まず↑の二つを心がけてください
その上で目の前の小鉢がその作家の作品のうち
どのあたりのランクに属するかを判定できれば、一人前に近くなります
 
例えば頒布コーナーに掲載した上の2鉢ですが
おのおの作品群の中で

この寸法の作品は稀少だ
形も珍しい
色を使った作品は珍しい
出来がよい
品格がある
などの理由でAランクの作品です

あとは自分の好みも大切です
どんなによくったって、自分の好みでなければ何の価値も有りません
その感覚に素直に従うのが趣味の道です

随時お話していきますので楽しみにしてください
ご相談メールも遠慮なく!

2003年7月27日日曜日

懐かしのミニ盆栽


イボタのミニ盆栽(過去の頒布コーナーより)

過去の頒布コナーの画像の整理をしていたら、懐かしいイボタが出てきました
たしか東京の愛好家の方が放出されたものの中の一鉢です

25鉢ほどまとめて頒布コーナーに掲載した記憶があります
山もみじにもいいものが混じっていて、今でも私のPCのどこかに保存されているはずです

それにしても、力まず無理せず「自然体」に作りこんでします
ミニ盆栽のお手本のような木です

針金に頼らない時間のかかるハサミ作りですから
枝に自然の「ゆすり」があり、枝元から順に細い梢となりゆく様子は
ほんとうに味わい深いですね

鉢はやや大きめで映っているとは言えませんが
お仕事の都合で傷めないように、わざわざ大きい鉢に植えなおしたと聞きました
そうでしょう
これほどの腕前の方なら鉢映りの技も会得していたでしょう

この優れもののイボタ君、元気でいますかー?
そう呼びかけたいほど懐かしくなりました

みなさんの盆栽作りのお手本になります

2003年7月26日土曜日

鉢の正式名称


この鉢は平安東福寺のそっくりさんです
おっとそれは後にして、今日のテーマは鉢の正式名称の勉強です

鉢の名称の正式な呼び方を覚えてください

まず作者の名前からいきます
平安東福寺

次に釉薬の名前を明記
平安東福寺・高取釉(たかとりゆう)

鉢の形は上からです、まず縁の形
平安東福寺・高取釉・外縁(そとえん)

次はボディーの形ですが、このようにオーソドックスなものは普通は明記しません
それでは足の形にいきます、二段になった切足ですから
平安東福寺・高取釉・外縁・二段切足(にだんきりあし)

最後に全体の形です
平安東福寺・高取釉・外縁・二段切足・長方(ちょうほう)といきます

それをつなげると
平安東福寺高取釉外縁二段切足長方樹盆
(へいあんとうふくじ・たかとりゆう・そとえん・にだんきりあし・ちょうほう・じゅぼん)

と少々長ったらしくなりますが、慣れた人同士だとこれに寸法を加えれば
頭の中に大体の予想図が描けます

機会あるごとに正式名称を添付するように心がけますから
みなさんもしっかり覚えてください
専門家になったようで気持ちがいいですよ


福岡県の高取焼はあまりにも有名です
東福寺もよく高取風の釉薬を用いました

この鉢は複製品ですが
釉薬、形、足のつくりなど 東福寺の特徴をよく掴んでいて
一目ではそれと分からないほどそっくりです

よーく注意して眺めると、雰囲気にやや違和感があります
東福寺鉢特有の手触りやわらかさが不足気味で
角張った感じです

鑑定に際し、そんな直感めいた感覚も大切な武器になります
そのへん、分かっていただけるかな?


やや上方から


落款は楕円の中に「東福寺」
有名な「わらじ落款」です
きれいに捺されています

いいですか、落款だけを頼りに鑑定してはいけません
落款は鑑定の一要素に過ぎません
肝に銘じてください

2003年7月25日金曜日

仕入れは命

今日は朝早くから仕入れに出かけました
私は昔から仕入れにかけてはマメなほうです

仕入れを怠けていると腕(目)がなってくるような気がしてきます
仕入れは盆栽屋の命なんですね
筋のいいものに出会ったときは、何年盆栽屋をやっていても嬉しい

そんな日は帰路の車の運転も苦にならないで
信号待ちの間に盆栽や小鉢を手にとって眺めていて
信号が青になっているのに気がつかず
後ろからクラクションを鳴らされることもしょっちゅうです

幸い今日もそんな嬉しい日になったので、数回鳴らされました
それでは今日の収穫を紹介します


(獅子頭もみじ)
取り木して3年は経っていて、堂々とした幹筋です
枝の張り具合もいい
将来の大物君です

来春鉢を替えればもっと男っぷりが上がるでしょう
二の枝が弱いので2~3年徒長させれば勢いがついて太くなります
いい買い物でした
それに予想以上に値切れました

相手の言い値が安い時はどんどん値切れ!!
これは私の仕入れの鉄則です


(平安東福寺鉢)
青味がかった海鼠(なまこ)釉の出来のいい東福寺
東福寺の場合、小さい鉢は手捻り鉢が多いのですが
これは普通のタタラ作り、珍しい
使いやすい鉢です


(平安香山鉢)
香山の白い薬の長方鉢
銀色がかったこの釉薬は香山独特のものです
これはいける、少々ホツがあるけど、その分値切りました

香山は東福寺の鉢作家の先輩です
初期のころ、東福寺は香山から影響も受けています
「はやく香山さんのようないい鉢を作れるようになりたいものだ」と言っていたそうで
東福寺は香山を尊敬していました


(竹本隼太鉢)
好きなんだなー竹本が!
いまや竹本鉢は盆栽鉢の古典です

竹本鉢を見ると、30数年の間に私が手を触れた(売買した)竹本鉢の数々の名品を思い出します
盆栽屋は売らなきゃご飯がたべられないから切ないですね
今でも忘れられないものがたくさんありますよ
ぐやしィー


(平安東福寺水滴)
それにしても東福寺はいろんなものを作りました
抹茶茶碗、ぐい飲み、急須、一輪挿し
だけど水滴(硯の水差し)は初めてお目にかかります
いい出来です
デザインが斬新です

以上5点が今日の買い物
朝早かったので午後2時ごろには帰宅しました
ご機嫌よし!!

2003年7月24日木曜日

けやき葉切り

けやきの培養法で、芽摘みや葉刈りや一般的に知られていますが
葉切りの技法も、ふところ芽の保護や樹勢の制御として有効な手段です


葉切りをしたけやきの姿
芽摘みだけでは、外側の葉に隠れた内側のふところ芽が弱りますから
葉刈りをかけて、その後葉が出揃い固まった時点で、大きめの葉を半分くらいに切ります

けやきの場合は年に一回の葉刈が普通ですから
この葉切りの技法を併用しましょう

これでふところに日と風が入り、ふところ芽が元気になりますし
芽先に勢いが集中してごつくなるのを防げます

是非実行してください
なお、もみじやブナなどにも適用すれば効果があります


葉面の面積の約半分を切ります
切った痕が見えますね