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2011年7月18日月曜日

スクール速報

4月の初めごろに手に入れた時点で、大きな仕立鉢にはいっていたのですが
すでに少々芽が動いていたので、自重して9号の仕立鉢に移すのが精一杯だった山もみじ(樹髙15㎝)


おそらく取り木出身であろう根の張りは申し分なく、ボディーにも枝にも力があふれ
松粕類に負けない堂々たる古木の佇まいを感じさせてくれます

このように立派なボディーを具えていなが、途中で持ち荒らした感のある盆栽を
一度素材に戻して仕立て直すのが、盆栽人にとってはたまらない喜びです


購入の時点で気になっていた問題点は

利き枝の1と2で示した枝の流れ(全体としてAのあたりへ向かった筋が正しい枝の方向と思われます)
3で示した上部のゴツイ枝の処理の2点です


1と2の小枝の処理はかなり迷うところですが、2は間違いなく残すことになるでしょう
3についてはしばらく未解決のままにしておきます


後ろ姿です

赤点で示した2本の裏枝が重複して、ややうるさい感じですね
この時点で下の枝は切ることも考慮に入っていました

という、以上のような計画段階にあって、本格的な改作施術は来春と決めていた私
ところが、6月19のフリースクールに、所有権が移転してしまったのです(笑)

ハシやんはスクールに来るたびに、観察して構想を練っていたんですね
その構想にメドがついたのでしょう、ハシやんらしくあとの仕事は早かったですよ



6/19撮影

ハシやんの改作の構想も利き枝の処理が中心です
上下の赤矢印の枝を除去し、枝の筋は赤丸方向へと流れています



6/19撮影

そしてなんと、下の裏枝をこの時点で切り取りました

大きな枝を切るには、適期とはいえ、普通ならもう少し樹勢をつけて来春に
というのがふつうですが、果断な性格のハシやんは1年間も待ちませんでした

ところあが、サプライズはその日の剪定では終わらず
つぎの週のフリースクール(6月26日)にも起こりました



この日(6月26日)のサプライズは植替えでした
ハシやんは9号の仕立鉢から、いきなり20㎝足らずのこの楕円鉢に植替えてしまったのです

入梅中に、葉刈りと同時に植替えをする盆栽人は他にもいるので、想定内の作業ともいえなくもありませんが
私は、長い盆栽生活の中でも、この時期に、ある程度以上の高レベルの山もみじの植替えは、行なったことはありません

そうなんです

私たち盆栽業者にとって、盆栽は商品でもあり生活がかかっているわけで
100%に限りなく近い確率になるまで辛抱強く待つ習性がありますが

ところが、愛好家は待ちません
往々にしてプロがついていけないほど冒険家なのです

でも、この葉色から見て
この山もみじの植替えは確実に成功すると思いますよ



6/26撮影

さて、やはりこの時点でも、ハシやんは利き枝の流れに留意しています
来年の今ごろまでには、切り込みや針金掛けなどの技術を駆使して、自らの理想の実現に邁進することでしょう



6/26撮影

後ろ姿
このたくさんの肥料にもビックリです

また、カットパスターの外側からちょっと内側あたりに、円形に亀裂が入っていますね
これは傷口の周囲にカルスが発達し盛り上がっている印し、つまり樹勢がよい証拠なのです

では
この山もみじの次に掲載をお楽しみに

2011年3月8日火曜日

けやき根張り作り・手抜き作業

前回の盆栽つれづれ草でご紹介した、けやきの根張り作りと矯正法
その中で、根ほぐしに自信のない方には手抜きの方法もある、と申し上げました

しかし、言葉だけでは情報が正しく伝わらない感じなので
画像をたくさん載せて詳しくお伝えしなおすことにしました


作業前


鉢土の表面の土をていねいに取り除いて
矯正すべき根を指摘します

この根は強すぎで方向もよくない
元の数ミリを残して切ります

この根は方向はいいのですが、強すぎます
切りました


この根もかなり太いですね
切りましょう

このように、前回でご説明したように
好ましくない根は勇気を出し、思い切り取り除きます


万が一根張りの欠けている箇所があったら
木質部にとどくよう、キリなどでやや深めに穴をあけます

その穴に発根剤を塗り込みます


その箇所を水苔で覆っておく
この処置は部分的な取り木と思って下さい


次は植替えです

固まった根の下を、三分の一から二分の一くらい輪切りにします
周囲の根はほぐさずに、ひとまわり大きめの仕立て鉢に植えます

この場合、決して大きすぎる鉢を選んではいけません
根の周囲にやっと用土が入るくらいの大きさで十分です


植え込み終了

※ この作業だけでも、根張りの矯正と根の勢いの制御となり
かなりの効果があります

ただし、毎年この方法だけですませていはいけません
この手抜き法は、あくまで1回おきの応急処理ですよ

それでは!

2011年2月20日日曜日

けやき・根張り矯正(重要)

今日のつれづれ草はけやきの根さばきについて
ふだんは鉢の中に入っていて見えませんが、盆栽の健康の秘訣は根っ子にあります

また盆栽においては、足元の力強さや根張りのよさを求めるのが
基本中の基本なので、それらの発達を促すために重要な技術です

教材は、実生6年ほどの盆栽屋.comの販売コーナーにあるけやきの箒作り
理解の行きとどくように画像をたっぷり使いました

さあ、みなさんしっかり勉強してくださいね


雑木類の中では芽吹きが遅いけやきなので、作業の時期は3月の初旬ごろ
しっかりした保護室のある方は、もう始めてもいいでしょう

さて、これから始める根さばきの目的は

1 強すぎ根、絡み根、浮き根、下向き根、重なり根などを整理(切る)し、根張りが八方に向かい均等に発達するようにする

2 それにより、立ち上がり付近が逞しく、かつ平均に形よく発達する

3 根を密に分岐させることにより、徒長枝が防げる


除去した根がたくさん見えますね、赤矢印右から

1 浮き根
2 強すぎるし、また向かう方向もよくない根
3 同上
4 他の根をまたいだ強い根


他にも切りたい根がありました、赤矢印右から

1 向きの悪い強い根
2 浮きぎみな向きの悪い強い根
3 直線的な強い根

※ 3のような直線的な強い根を放置しておくと、枝に影響を及ぼし、徒長枝のもとになります
やわらかい枝先をつくるためには、やはり細い根が密集した状態を作り出さなければならないのです

ちなみに、白矢印は、下向きの根が発達しないように
根の底に敷いた鉢のかけらです


鉢から抜いて根をほぐす

細根がよく発達していますが、それでも足元にあれだけの不適切な根がある以上
将来のために根さばきを実行しましょう


根のほぐしをおわって、植え土もほとんど取り去りました
さあ、いよいよ本題に入ります


赤矢印で示した強すぎ根

怖がって数㎝も残すようでは、根さばきの意味がありません
白線のあたりからバッサリやります(元の数ミリだけ残す)


赤矢印で示した切り口、よろしいですか、数ミリだけ残すんですよ
根も枝と同じで、強い根を切られると、その切り口付近から新しく細い根が出てきます


赤矢印で示した左右の根の向きがよくないですね
真ん中の根を残して切り取りましょう


やはり、元に数ミリを残して切りましょう
もちろん真ん中の根も、先端は適度に切りつめます


根裏から見ると

赤矢印でしめした根は強すぎるうえに、二重に重なった不要根です
これも切ります


ご覧下さい
太い根の上側には適度な太さのいい根がありますね


残された根も先端を適度な長さに切りそろえられました
根の整理が終了です


根裏から見ましょう

下向きの太い根の切り口が2本ありますね
また、残された根は足元を中心にして放射状に伸びています


植え込みに際しての注意

1 水はけをよくするためのゴロ土をたっぷり
2 下向き根を制御するための鉢片を根底に敷く
3 鉢底からの針金での固定が難しいので、図のように紐を使ってしっかり固定する


植え込み完了です
術後は乾燥と冷たい風に注意し、春の芽だしまで保護室でしっかり管理します

付け加えること

1 根さばきは、根と足元作りのために、実生から7~8年くらいは毎年行うのが理想的
  この作業の連続により、毎年不要根は整理され、素性のいい根だけが残され
  教材のけやきのような素晴らしい立ち上がりが実現します
  (原則として、よい状態で持ち込まれた10年以上の古木には必要ありません)

2 ですから、術後の管理に自信のない方でも、1年おきくらいには実行していただきたい

3 しかし、これだけの根さばきには自信のないという方には
  手抜きの方法もないではない

4 ↓の図のように、鉢土をほぐす前の状態で、表面の用土をかきわけて根を露出させます
  その状態で見える限りの不要根の整理をします(残された根は引き抜かなくてもいい)

5 さらに、すっぽり鉢から抜いて、根の塊の下三分の一くらいを水平に切り取ります
  この場合、残された根の塊はほぐさないようにします

6 そのままわずかに大きめの鉢に植え直し、表面にも新しい用土を足してならしておく
  この二つの作業だけでも、根と足元作り、さらには根の制御にもなり、効果はありますからお勧めです
  


根の周囲をほぐさずに、表面だけややほぐしてから不要根を切る


周囲をほぐさずに、根の塊の下三分の一くらいを水平に切る

それでは!

2008年4月15日火曜日

山もみじの古木

4月のはじめに、ちょうど春の芽だしどきの山もみじの細幹の古木を手に入れました
もう少し芽の進みが遅ければ植替えするのですが、この状態ではちょっと冒険です

しかし、実際に手慣れた人ならば「なーに、まだまだ大丈夫」なんぞと言いながら
無理して植替えをするでしょうね、そんな期限一杯のぎりぎりの芽の状態です

鉢内の根の廻り具合から見て、植え替えしたいのはやまやまなれど
そのごの管理のことも考慮して、やはり来年まわしにすることにしました

樹高は約27cm

それではこんなときに行っておく最低限度の手入れについて、勉強しておきましょう


葉が開きかけているので、ちょっと姿が見えにくくなっていますが
ともかく全体の輪郭に無秩序な乱れが感じられます

しかし、根張り、幹筋、枝順などの基本の骨格はしっかりしてるので
その長所を再確認し、今年の培養計画を建てます


後ろ姿


白点1と2 
左右の利き枝です、この枝の雰囲気が全体の印象を決定しますから
切り詰めて針金で矯正することにします

白点3
前枝、ちょっと迷いましたが切り落とすことにしました

白点4から7
上部を形成する枝ですが、ちょっと長めですね
全体の輪郭との釣り合いを見ながら短めに剪定します

白点8
現在では芯とされますが、勢いが強すぎるので
その手前の枝を新しい芯とするために切り落とします


根張りと立ち上がりの拡大図


さらに拡大して見ましょう
表面の苔も厚すぎたので取り除いて、土の通気がよくなるようにしました


頭の部分も強すぎる枝を切り詰めました
少し切り残したのが従来の芯


剪定終了

輪郭線が整い姿に秩序が感じられるようになりました
スッキリしましたね

いい素質をもっているので、来年以降が楽しみです


後ろ姿

管理の注意点

植替え時期が来ても植え替えていない古木は、夏場でも乾きが悪い場合があります
つまり、新根の活動が不活発だからです

鉢土の乾き具合をよく注意し、水のやり過ぎにならないよう
つねにやや乾かしぎみに管理するのがコツです

乾かすことによって鉢内温度があがり
根の活動が活発になるからです

くれぐれも過水は禁物
肥料も少なめです

2004年12月2日木曜日

盆栽の掃除

盆栽の手入れに含まれる作業の中で「掃除」といわれる部分は
目立たないけれどけっこう重要な仕事です

松柏類なら枯れ葉とりなども「掃除」の部類に入るでしょう
枯れ葉をとることにより通気をよくし脇芽の保護などに役立ちます

落葉する雑木類の「秋から冬に掛けての掃除」といえば、幹磨き
これが単に幹を清潔にするだけでなく、不要な胴吹き芽をかきとったりする作業も含んで、かなり重要です


山もみじの双幹、掃除前の姿です

既に肉の巻いた部分にも癒合剤がこびりついていたり、枝分かれの部分に水垢の汚れがついていたり
枝元に不要な胴吹き芽がかなりみられます

水圧で幹の汚れを落とす便利な機械も市販されていますが
私は歯ブラシや金ブラシ、千枚通し、切り出しナイフなど、盆栽の手入れで通常使用する道具で「掃除」をします


「掃除」後の姿です、どうです、きれいになったでしょ
見違えるようですね

幹肌にこびりついた汚れがとれれば、時代の乗った縦縞のきれいな木肌が出てきて
山もみじらしい優雅な美しさが鑑賞できます


根張りの部分も金ブラシや歯ブラシで「掃除」をすると
真っ黒な汚れが取れて、次第に美しい木肌が出てきます


木裏の傷口の周囲もきれいにします
きれいにすると意外に傷は小さいものでした


根元に噛んだ小石もとり除きました
来春植え替え時に水苔を詰め込んでおけば、自然に穴は小さくなります


後姿も清潔感がでました
観賞価値もグーンと高くなりましたね


枝元から出ていた不要な胴吹き芽も金ブラシでこすりとれば
幹がゴツゴツになるのを予防できますし、樹勢が小枝の先端に向かうので、培養的にもかなりの効果があります

さあ、みなさん、秋から冬の期間中は「掃除の適期」ですよ!!